Yoko Shimizu 清水陽子 | Future Tunnel
Innovating the world through art and science - Latest news from our biology design lab. 科学と芸術を融合する現代芸術家、清水陽子の公式ホームページ。バイオテクノロジーを中心に先端科学を用いたデザインラボ「Lab +1e」から最新情報を発信中。
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Future Tunnel

「おーい」「やっほー」

山のなかにいるかのような子どもたちの声が響いているのは、開通前のトンネルの中。

真っ暗なトンネルの天井には、木々が風にそよぐ様子が映し出されている。白いチューブに話しかけると、森のなかに声が響いていく様子が視覚化され、こだまして戻ってくる。

この日松戸のトンネルは、富士山のふもとの森とつながっていた。

これは2018年5月12日に開催された「東京外かん松戸インターチェンジ開通プレイベント」で設置された『未来トンネル』の様子。

50年ほど前から計画、施工が続いてきた東京外かん松戸インターチェンジが開通する記念に、だれもがこの場所を歩くことができるイベントが開催された。

長期間の施工に関わってきた方々の写真展示や、地域で活動をしている企業のブース、たくさんのキッチンカーなどが並ぶエリアなど、家族連れが楽しめるイベント。開会式で市長の挨拶が終わると、老若男女、たくさんの人たちがトンネル内を散策しはじめた。

当日はイベントに訪れた子どもから大人まで、たくさんの人が未来トンネルでのインスタレーションを体験した。

子どもたちが耳を傾けているのは 「Tele Echo Tube」と呼ばれているもの。

まったく同じものが富士山のふもとの森にも設置、接続されていて、声をかけるとチューブを通して声が森の中に響き渡るようになっている。その音に反応した鳥の様子やこだました自分の声が、チューブの中から返ってくるという仕組み。

このチューブを使って研究を行っているのが、東京大学空間情報科学研究センターの小林博樹教授。

「自然観察や動物の健康調査。人がいないところで動物が何をしているのかを、音を介して観察する研究などをしています。」

たとえば人が立ち入ることの難しい福島の帰還困難区域や、人が立ち入ることで環境を変えてしまう山の奥。

人がずっと観察し続けることができない場所に固定マイクを設置して、自然の音を観察することで、環境の変化を感じとる。

加えてその音を、24時間リアルタイムで配信しているそうだ。

「大学で環境問題に関わっていると言うと、すごく縁の遠い話だと思われるんです。でもとても身近で、普段の生活とつながっていることが多いんですよね。それを感じてもらえるような仕組みにできたらと思っています。

今回のインスタレーションでも、まずは自然とつながることを楽しんでもらえたら。子どもがここで楽しかった経験を覚えていて、大きくなったときに『そういえばあのトンネル、歩いたよな』と思い出す。

この高速道路を維持するのにも、みなさんの税金が使われているわけです。自分に関係のないことではなくて、ずっと許容され続けていく建築物である1つのきかっけになるといいですよね。まったく自分に関係ないもの、というわけではないですから。」

チューブの前で「やっほー」と声をかけ続けている子どもに、この音が富士山の森とつながっていることを伝える。すると、ちょっと気恥ずかしそうな表情を浮かべつつも「おーい、ふじさーん」とチューブに向かって叫んでいた。

声はこだまのように音で返ってくるだけでなく、天井に映し出された森にカラフルな粒となって可視化されていく。

粒が出たことに静かに喜ぶ子もいれば、いかに粒を多く発生させるかを競い合っている子どもたちの姿も。

木がそよぐ森に、声が反応してはじけていくようなビジュアルを制作したのはRCA-IIS Tokyo Design Labのクレバノフ・ユリさんと磯部宏太さん。

デザイナーでありエンジニアでもある2人は、東京大学のさまざまな研究室とラボレーションすることで、最先端の科学技術を社会に実装するためのプロジェクトを行っている。

「今回、トンネルのなかで没入するような空間をつくりたいっていうお話をいただいて。声を介して自然とつながれる取り組みを行っている小林先生とコラボレーションしたインスタレーションを考えました。

トンネルを森にする。それを単純に楽しんでもらえたらいいかなと思っています。チューブに向かって声を出して、返ってきた声を聞いて。富士山との関わりや森との関わり。自然とともに未来の松戸があるっていうことに触れてもらえたら嬉しいですね。」

インスタレーションを体験するスペースの横では、小林教授や磯部さんたちの活動、今回の作品解説を行う「サイエンス・トーク」が開催された。

磯部さんたちが行っている先端科学を応用したプロジェクトの過程を、ふと立ち寄った人たちがじっくり耳を傾けて聞いている。

サイエンス・トークの進行役を務めているのが、今回のプロジェクトのディレクターとして動いてきた清水陽子。清水は本サイトを運営している0!(ゼロファクトリアル)のプロデューサーでもある。

「松戸市からお話をいただいて、せっかくだから変わったことをやりたいと思ったんです。松戸市は今、国際的な創造都市を目指しています。なおかつ、大自然に囲まれているという環境をかけ合わせていくと、より先進的な街になっていくんじゃないかと思っていて。

小林先生の研究では自然界と生き物や動物、それにIOTやAIなど先端科学をうまくつなげている。さらにこの空間でどういう技術をデザインで実装したらおもしろいかなっていうことをRCA-IIS Tokyo Design Labに相談して、このコラボレーションが決まりました。

未来のトンネル。つまり、自然と科学とデザイン、アートと文化が融合された世界をこの空間で再現しています。

普段の生活のなかにも、最先端のテクノロジーってたくさん実装されているんです。福島の分析にも使われているように、社会の役に立っている技術を楽しく体験していただけたらと思っています。」

「ニューヨークのブルックリンで活動をしていたことがあるんです。大都市のすぐ横に、まだまだ未開拓、未知の可能性がたくさんあって、若いクリエイターがどんどん入ってきて自分たちの街をかっこよくしている。そういう意味で、松戸はブルックリンに近い雰囲気があるんじゃないかなって。すごくいい街だと思っています。

秋にはそんなおもしろい街で新たなイベントを開催しようと思っているので、楽しみにしていてください。」

『未来トンネル』制作チーム
科学技術:小林博樹准教授(東京大学空間情報科学研究センター)、下徳大祐
デザイナー:クレバノフ・ユリ、磯部宏太(RCA-IIS Tokyo Design Lab)
ディレクター:清水陽子
制作協力:0!(Zero Factorial)

0! Zero Factorial Future Tunnel 東京外環 トンネル 松戸
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